有名な絵画を模写してみたら

私が学生だった頃、絵画が好きなこともあり美術部に入っていたのですが
ある時の課題が「ピカソの作品を模写する」というものでした。
部員たちは必死で「ゲルニカ」や「アルルカン姿のパウロ」を
キャンバスに油絵の具で描き写して行きます。
そして私はというと、ピカソの「泣く女」を一生懸命模写していました。
この作品は原色っぽい色を多用していたという理由もあり、
案外と描き写すのは苦ではなかったばかりか
むしろ塗り絵のように楽しんで絵筆を取っていたことを今でも鮮明に思い出します。
出来上がった作品は僭越ながらなかなかの出来栄えで、ちょっと見た感じでは
本物と見紛うばかりの仕上がりであったと自負しているのですが
それは私の思い込みなどではなく、
実際に「この絵を売ってほしい」と言い出す人も居たぐらいです。
数千円で売れたその絵は喫茶店の店内に飾られました。
どうやら自分の経営するお店に飾りたかったらしいのですが
自分で描いた絵が売れたのは後にも先にもこの一回限りです。